素直になんかなれない


…と、その時。



ピンクだけが覆っていたあたしの視界は
柔らかい温もりと共に、一瞬だけ遮られた。


…え?



驚きのあまり、声すら出なかったあたしに
昴がそっと唇を離し、ニッと笑って言う。



「ねーね、気ぃ抜きすぎー。」

「なっ、何して、」

「何って、ちゅーだよ、ちゅー。」


ちゅー!?!?!?



「しっ、信じられないっ!」

口元を押さえるあたしに
昴はゲラゲラと笑い始めた。



実は、これがあたしたちのファーストキス。


でも、まさか
こんな形でするなんて!

っていうか、奪われた!?




「もぉっ!昴のバカ!!!」

「ええ~っ?何で怒ってんの!?」

「知らないっ!」


…なーんてね。


怒ってるなんて嘘だよ。


本当は嬉しかったの。

ただ、何だか気恥しくて。



そんなあたしに、昴は気付いてるかな?







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