素直になんかなれない
そこまで言い切って睨みつけたあたしに
昴は突然難しい顔をして、落とすように言った。
「…わかってないのは寧々じゃない?」
夕暮れが、涙を
昴を、滲ませてく。
「……あたし、が?」
掠れた声でそう呟くと、昴は困った様子で頭を掻いてみせた。
言いにくそうに
だけど、強いその眼差しがあたしの心を揺さぶって。
「俺は、寧々の言う事…出来る限り答えてあげたいって思う。けど、」
短くも長い沈黙が流れてゆく。
遠くの空に、太陽は沈みかけていた。
そして、昴の肩越しに見える学校から
野球部の掛け声が響いた、その時。
「友達も、クラスメートも…もちろん寧々の事も、俺にとっては全部大事なんだよ。」
ぶつかった視線に
あたしはもう、何も言えなくなってしまった。
…それって
あたしは一番じゃないって事?
ねぇ、昴。
昴にとって、あたしはどの位置に居るの?
あたしは
一番じゃなきゃやだ。
昴の、一番じゃなきゃ
こんな関係…意味ないじゃない。
意味、ないんだよ―――。