素直になんかなれない


「昴、外でサッカーしようぜ!」

「おう!」


だけど
寧々が他の子と唯一違うところが一つだけあった。




「昴~、サッカーするのぉ?」

「昴、頑張れーっ!」

「本当サッカー好きだよねぇ、昴ってー。」



そう、俺は
周りの友達からほとんどの割合で“昴”と呼ばれていたのだ。

男も女も
みーんな“昴”



しかも

「こらーっ、昴!花壇にボールを蹴るんじゃないぞっ!」

「いや、俺が蹴ったんじゃないっすよ!」

先生ですら、この通り。




「昴先輩、怒られてるじゃないっすかー!」

「お前のせいだっての!」


後輩だって
“昴先輩”って呼ぶし

滅多な事がなければ
“相澤”って苗字で呼ばれる事なんてなかった。


小さい頃からそうだったし
今じゃむしろ苗字で呼ばれるなんて皆無に等しい。



でも、何故か寧々だけは
俺を“相澤くん”と呼んでいて。

別に喋らない訳じゃないし
特別仲良くないって訳でもないのに、俺はそれが不思議で仕方なかった。




だから、俺は聞いたんだ。




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