素直になんかなれない
今思えば
俺はまんまと寧々の思惑にハマってしまったのかもしれない。
そんな事を言ったら
寧々にキレられそうだけど
あの事がきっかけで
寧々を意識し始めたのは紛れもない事実なのだ。
今まで単刀直入な告白はされた事あるけれど、あんな形で伝えられたのは初めてだったし
正直、好きな子も気になる子も居なかった俺には、寧々のあの言葉に、むず痒さを感じていた。
相澤 昴、16歳の秋。
そんなこんなでちょっとだけ…
いや、かなり気になる人が出来ました。
「聞けばいーじゃん。」
「…お前、簡単に言うなよ。」
秋晴れの空に、俺はジャージを捲り上げて溜め息を吐き出す。
今はすぐ目前に控えた体育祭の予行練習中。
悠は一度屈伸をすると他人事のように言った。
「だってそれ、完璧な告白だろ。」
「…んー……まぁ、そうなんだろうけどさぁ…。」
言葉を濁したまま、視線だけ寧々に向ける。