素直になんかなれない
今日も頭におだんごを乗せた寧々は、隣に居るヨッシーと笑いながら何か話し込んでいて。
「…よくわかんないよなぁ、女心って。」
そうぼやいた俺に
「ぶっ。お前、相当鈍いもんな。」
と、悠がいらぬ一言。
一瞬むっとしたものの
ピー、っと鳴り響いた笛の音に先生の元へと整列するクラスメートたち。
仕方なく、俺と悠も列に倣った。
「今日はクラス対抗リレーの選手を決めるぞ~。」
先生の言葉に
全員が「え~っ!」と声を挙げる。
俺はそれを見計らって
再び寧々に視線を投げた。
青いジャージに袖を丸めて
クラスメートと談笑する横顔は今日もほんのりとしたメイクのみ。
毎日違う髪飾りは、今日は水玉模様にあしらわれていて。
…あれ、何て言ったっけ。
『昴、知らないの?これ今流行ってるんだよー!』
ふと過ぎったクラスメートの言葉に、俺はあぁ、と心の中で頷いてみせた。
…そうだ、シュシュだ。
男の俺にはよくわからないけれど、そのシュシュという髪飾りは手首に付けても可愛いのだそう。