素直になんかなれない


女ってヤツは何であんなモンが可愛いのだろうか。

…うーん、わかんね。



俺にはどんなに考えたって理解出来ないけれど

寧々が付けてるその水玉のシュシュとやらは、何だか可愛いかも、とか思ったりして。



…これも、もしかして寧々の策略に引っ掛かってる?



と、そんな事を考えていた時。



「いってっ!」

ボコン!っと鈍い音と共に頭上に走った痛みで、俺ははっと顔を上げた。



そこには

「昴~、いい度胸じゃねぇか。俺の話聞かないで考え事かぁ?」

鬼の形相で見下ろす
たむちんこと、田村ティーチャー。

手には、たむちんお約束のメガホン。



その瞬間、どっと湧いた笑い声に次々野次が飛んで来る。


「何してんだよ~昴!」

「あはは、ウケる昴ーっ!」

「先生、もっとやっちゃって下さーい!」



後ろに座る悠も、ゲラゲラと腹抱えて笑ってるし。



そんなクラスメートに
「うるせー!」と毒づくと

おもむろに振り返った寧々と視線がぶつかって、俺の心臓は跳ね上がった。




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