素直になんかなれない


彼女はみんなと同じように
くすくすと笑っている。


その笑顔が歯痒くて。

何だか、照れ臭くて。



慌てて寧々から視線を逸らすと、たむちんはメガホンで自分の肩を叩きながら言った。



「昴は罰としてアンカーだからな!」

「えぇっ!?」


俺がアンカー!?



「で、あとのメンバーは…、」

「ちょ、待ってよたむちんっ!」


呼び止める俺に
たむちんは列をすり抜けて前に進んでく。


「たむ、」

「奈雲とー、吉田…、」


えっ!?
奈雲も!?



「ん?何か言ったかー、昴。」

「い、いや!何も!」


マジかよ!
マジで奈雲も一緒なの!?



焦りつつ、寧々を見ると
え~、っと嫌そうな顔してたむちんに抗議していて。


唖然としていた俺に
肩を叩いた悠は、ニヤリと笑って言ったんだ。


「チャンスじゃん。」

って。



ちなみに
悠もリレーの選手に選ばれて、妙に張り切っていたけど

俺の頭の中はぐちゃぐちゃ。



緊張で、パンク寸前だった。




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