素直になんかなれない
それから、悠を筆頭にリレーの練習に励んだ俺たちクラスは
放課後も残ってひたすらバトン練習。
でも、俺の脳内はぶっちゃけリレーどころじゃない。
「相澤くん、」
「えっ、お、俺!?」
「…相澤くん以外、いないじゃん。」
変なの、と言い残し
寧々はバトンを俺に渡してストレッチを始める。
と、まぁこんな感じで
何か妙に緊張しちゃって、ぎこちないったらありゃしない俺。
なのに、寧々ときたら
あの日の事なんて何事もなかったかのように普通だし。
意識しちゃってるのは、俺だけ…みたいな。
『…みんなと、同じじゃ……嫌なんだもん。』
まるで、あの言葉は
嘘だったのかと思ってしまう。
いや、もしかしたら夢とか?
「…そんなはずない、よなぁ。」
「何が?」
「いや、だからこの前の…、って悠!!!」
いつの間に!?
驚いている俺を余所に
悠はくくっと笑って言った。
「昴って、ひとつの事しか考えられないタイプだよなぁ。」
って、全くもって失礼極まりない。