素直になんかなれない
「う、うるせーっての!」
バツが悪くて悪態をついた俺に
悠は余裕しゃくしゃくの笑顔を浮かべて
「まー、俺に任せとけって。」
と、ご機嫌の様子。
「はっ!?ゆ、悠お前何する気、」
「いーからいーから。」
慌てて呼び止めるものの
背中を向けたままヒラヒラと手を振った悠は、一直線に寧々の元へ向かってゆく。
悠は一体何を考えているのか。
それは、その後すぐにわかるのだった。
「はいっ!」
「っわ!ご、ごめ、」
「あー、ダメダメ!そんなんじゃ優勝出来ねーよ!」
パンパンと手を叩きながら
悠はコーチ面して言う。
「昴~、お前アンカーなんだからよー。」
「…わかってんよっ!」
地面に情けなく転がったバトンを拾うと、寧々が心配そうな視線を向けて来た。
…そんな顔、すんなって。
俺だって
どうしたらいいかわかんねーのにっ!!!
いたたまれなくなって悠を見ると
案の定、してやったりといった顔してる。
くっそぉ、悠めーっ!