素直になんかなれない
結局、俺はフィニッシュテープを切る事は出来なかった。
結果は6クラス中、5位。
最後の最後で一人抜いたけど
優勝には程遠い。
目に見えて
落胆するクラスメートたち。
だけど、俺の心は何故か晴れ晴れとしていた。
頭上に広がる
あの、突き抜ける空のように。
リレーをする前の気持ちは
どこかに飛んでいってしまったんだ。
理由は、ごく単純。
俺は未だ息切れしたまま
ゆっくりと、その横顔に足を向けた。
「相澤くん……、」
目を真っ赤にして
寧々は俺を見上げる。
誰よりも、この結果に落ち込んでるのは誰でもない寧々だった。
視線を逸らし
俯いた寧々は、申し訳なさそうに口を開く。
「ごめんね……、あたしが転んだりしなければ…。」
そこで言葉に詰まった寧々に
俺は黙って首を横に振った。
「いいよ、そんな事…。」
「でも……、っ!?」
もう、何だっていいんだ。
そんな事。