素直になんかなれない
ざわつくグラウンド。
視線の全てが、俺と寧々に向けられている。
そりゃそうだろう。
俺は、校庭のど真ん中で
寧々を今抱き締めてるんだから。
「ちょ、あ、相澤く…!?」
胸元で慌てふためく寧々に
俺は抱き締める腕の力を強めた。
「…昴って呼んでよ。」
「……え…?」
もう、どうしようもなくて。
今、伝えたくて。
溢れた想いは
言葉にすれば、至ってシンプルなモノだった。
「…好きだよ、奈雲。すんげー好き。」
そう、それだけ。
それが、俺の気持ち。
「……嘘…、」
「嘘なんかじゃない。」
嘘な訳ねーじゃん。
だって、俺その笑顔を誰にも渡したくない。
そう思うって事は、そうゆう事…だろ?
ねぇ、だから言ってよ。
曖昧な言葉で誤魔化さず、ちゃんと言葉にしてよ。
俺、バカだから。
言ってくれなきゃ、わかんねーし。