素直になんかなれない


ざわつくグラウンド。

視線の全てが、俺と寧々に向けられている。




そりゃそうだろう。

俺は、校庭のど真ん中で
寧々を今抱き締めてるんだから。




「ちょ、あ、相澤く…!?」

胸元で慌てふためく寧々に
俺は抱き締める腕の力を強めた。



「…昴って呼んでよ。」

「……え…?」


もう、どうしようもなくて。

今、伝えたくて。



溢れた想いは
言葉にすれば、至ってシンプルなモノだった。




「…好きだよ、奈雲。すんげー好き。」


そう、それだけ。
それが、俺の気持ち。



「……嘘…、」

「嘘なんかじゃない。」



嘘な訳ねーじゃん。
だって、俺その笑顔を誰にも渡したくない。


そう思うって事は、そうゆう事…だろ?



ねぇ、だから言ってよ。
曖昧な言葉で誤魔化さず、ちゃんと言葉にしてよ。

俺、バカだから。
言ってくれなきゃ、わかんねーし。






< 37 / 135 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop