素直になんかなれない
あたしは昴のプリントを自分のと重ね、どこか投げやりに呟いた。
「自慢なんかじゃないよ、あんな奴。」
トン、とプリントを立てて整えるとヨッシーは頬杖をついて笑って言う。
「また、そんな事言ってぇ。本当は大好きなくせにー。」
素直じゃないんだから、そう言われバツが悪くなったあたしは窓の外に視線を投げた。
――昴は、いつだってそうだ。
いつも誰かと笑ってて
毎日、みんなに囲まれて。
所謂、人気者。
どこに居たって
何をしてたって、昴の周りには自然とみんなが集まる。
ちょっと伸びた襟足に
サッカーで日に焼けた肌。
背はそんなに高くないけど、顔は世間一般で言うイケメンって部類に入るんじゃないかと思う。
スポーツ全般万能だし
勉強もそこそこ出来て。
性格は至って明るくて、それでいてちょっと天然で、友達思いなサッカーバカ。
そのくせ鼻にかけてないせいか、昴はいつの間にやらクラスの中心に居るようになっていた。