素直になんかなれない


…どうしよ、あたし―――。



昴が、真っ直ぐに見れない。

目を合わせるのが
…怖い。



そんな目で
優しい目で、あたしを見ないで。

自分の愚かさが
嫌になるじゃない。



昴を、わかってあげられない自分が

酷く
情けなく見えるじゃない…。





霧が広がってゆくように
モヤモヤが心の中全部を支配してゆく。


「寧々、昨日は…、」



だからこそ、あたしは
歩み寄って来てくれた昴に背を向けてしまった。

まるで、昴自身を
否定するかのように―――。




「……寧々…?」


気が付いた時には、もう遅くて。



…嘘、あたし……っ




我に返り慌てて振り返れば

そこには
眉を下げて、傷ついた顔の昴があたしを見ていたんだ。







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