素直になんかなれない
ポツポツと、教室の窓を叩く雨。
先生が必死に黒板に書き綴る英文を聞くフリしながら
あたしは窓の外に視線を這わせた。
まさにどしゃぶり、と言った言葉が相応しい程
グラウンドを叩く雨粒。
その雨音と
たまに先生が口にする英文が、混じり合って耳をすり抜けてゆく。
あたしは結局
今日一日、ずっと昴を避け続けた。
何度も話を掛けて来てくれようとする昴に
ひたすら逃げて。
見て見ぬフリをしているあたしを
きっと昴は気付いてる。
そんなあたしを見兼ねて
ヨッシーは「何があったの?」と尋ねて来たけれど
その質問にも
あたしは曖昧に笑って誤魔化した。
かと言って
「別に何もないよ。」なんて言える雰囲気じゃない事もわかっていたから
ヨッシーもそれ以上、追及して来なかったし
あたしも、何も言わなかった。
雨から視線を落とし
ノートに、無意味な丸を書き殴る。
何度も、何度も
重ねた丸は、次第に真っ黒になって。
グルグル、ぐるぐる。
それが、まるで闇のように
あたしに瓜二つで、心の中でこっそり自分を嘲笑ってみた。
自暴自棄、とは
今のあたしみたいな事を言うのだろうか。
だとしたら、今のあたしは
昴の目に、どう映っているんだろう。