素直になんかなれない
…とか言ってるあたしも
実はその内の中に居た一人。
昴の人懐っこい笑顔に、気が付けば心ごと惹かれていた。
だけど、今じゃその逆で。
輪の中に居るあの笑顔は、あたしの胸を締め付けて仕方ない。
その笑顔を
他の女の子に見せないで。
そんな優しい目を、他の女の子に向けないでよ。
昴はあたしの彼氏なんだよ?
どうして
他の子に、“昴”って呼ばせるの?
どうして
あたし以外の子に、優しくするの?
どうして―――。
切なくて、苦しくて、寂しくて。
そんな日々を繰り返す度
積み重ねられ、作られてく可愛くないあたし。
自分を隠す事ばっかりして
昴の前じゃ、意地っ張りになっちゃって。
こんなんじゃ
昴に嫌われちゃう。
愛想尽かされちゃうかもしれない。
わかっていても
一度作られた可愛くないあたしは、今日もやっぱり意地張って言うんだ。
「昴、あたし先に帰るから。」
どうして
素直になれないんだろう。
そんな自分が
酷く、嫌でしょうがない。