素直になんかなれない
再び向き直った昴は
「ごめん、今日アキラの誕生日でさ、」
そう言って申し訳なさそうにあたしを見る。
アキラとは、昴がいつもつるんでる仲間の内の一人。
って言っても
昴は同学年のほとんどが友達みたいなモノだから
仲間も何もないんだけど…。
「でも、別に遅れたって平気だから。」
「………、」
優しい、昴の声。
だけど、あたしの歪んだ心は
その声ですら受け止めようとはしない。
ねぇ、昴…。
昴は、昨日言ったよね。
『友達も、クラスメートも…もちろん寧々の事も、俺にとっては全部大事なんだよ。』
…じゃあ、今は?
今は、あたしと友達
どっちが大切?
「…行っても、いいよ。」
「……寧々、」
昴はいつもあたしを優先してくれた。
だから
今回もそうだよね?
「アキラくん、待ってるよ?」
あたしを、選んでくれるんでしょ?