素直になんかなれない
もう、帰る気にすらなれなくて。
歩く事すら、面倒で。
あたしはベンチに座り込み
力なく涙を流した。
何が正しいのか、とか
どっちがいけなかった、とか
そんな事、もうどうでもよかった。
とりあえずハッキリしてるのは
この涙を拭ってくれる優しい手は、今隣に居ないって事。
あたしじゃなく
彼女、じゃなく
昴が、友達を選んだって事。
だから、胸がちぎれそうなくらい痛いんだって事だけだった。
「………っ、」
なのに、何であたしは
こんなに傷ついてまで、昴が好きなんだろう。
どうして
昴を、嫌いになれないの?
彼女って、一体何なの?
彼女になれば、必然的に
一番になれるんじゃないの?
『友達』に負ける『彼女』なんて
そんなの、恋人だって言える?
わかんないよ…。
わかんないよ、昴―――。