素直になんかなれない


でも、昴はいつも追い掛けて来てくれる。



「あ~っ、寧々待って!俺も帰るっ!」


引き止めるクラスメートに

「ごめん、また明日なー!」

そう言って、必ずあたしを優先してくれる。




わかってるからこそ、あたしはまた安心してしまうの。

本当はこんなんじゃダメだ、ってわかってるのに。



何も言わず当たり前のように傍に居てくれる優しい昴に、あたしはいつも甘えてしまうんだ。



「お待たせ、寧々。帰ろ!」

「…いいのに、まだ喋ってれば。」

「いーの、いーの!」

どうせまた明日会えるんだし!

そう言ってさりげなくあたしのカバンを持ってくれる、昴の優しさが痛い程愛しくて。




「ねーね、」

「…なぁに。」

「新しい変顔!」


顔に似合わず、そんな事ばっかりする昴が今日も大好きで。




「んもぅ、バカじゃないのっ!」

「あ、笑ってんじゃん!やりぃーっ!」


だからこそ、試したくなる。




ねぇ、あたしの事
本当に好き?

ちゃんと、好きで居てくれてる?






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