素直になんかなれない
…あーぁ。
人間って、どうしてこんなに欲張りなんだろ…。
昴に片思いしてた時は
たった一言でも、喋れただけで嬉しくて
目が合っただけで幸せで。
そんな些細な出来事でさえ、一日中ずっと笑顔でいられた。
なのに、付き合った途端
あたしの心はワガママばっかり。
だからといって、嫌われるのが怖くて
昴本人には何も言えない。
“あたしだけを見て”
そう言えたら、どんなに楽になるかなぁ。
…なーんて、ね。
そんな事言ったら
きっとあたしは昴に幻滅されるってオチなんだ。
だけど
それだけは、嫌だから。
昴の彼女って立場は、誰にも譲りたくないから。
こぼれそうになる思いに、毎日蓋をして。
今日もあたしは余裕なフリをするの。
だって昴の右側は
あたしだけの場所なんだもん。
唯一、あたしは彼女なんだって思えるのは
昴の隣。
それだけ、なんだもん。