素直になんかなれない
プルル、プルル………
永遠にも似た、長い長いコール音。
それを聞きながら
冬だというのに、汗だくの体を冷ます俺。
だけど、次第に心を覆ってゆく不安に俺は焦りを感じていた。
…寧々、もう寝てるのか?
それとも
やっぱ、シカト…とか?
待てど暮らせど、電話の向こうから寧々の声は聞こえない。
俺は学ランの首元をパタパタさせ、風を入れながら
公園から見える寧々の家に、首を伸ばす。
遠目に見える奈雲家の明かり。
やっぱ、シカト…かぁ。
そりゃそうだよな。
昨日だって連絡くれなかったんだ。
そう都合よく出ないか。
先に確認してから来ればよかった、と肩を落とす。
来てから後悔したってしょうがねーけど。
思い立ったら即、そんな自分の性格が恨めしく思った。
だけど
「…明日話すか、」
そう小さくぼやき、携帯を耳から離したその時。
『……はい…。』
と聞こえたか細い声に、俺の心臓は一気に速まった。
「寧々!?お、俺!俺だけど!」
って、何どもってんだよ俺!!!