素直になんかなれない


なのに
どうして――――?



「っ、寧々…っ!」


どうして、引き止めたりなんかするの?




「っやだ!放してっ!」

掴まれた腕に、あたしは必死で抵抗する。



だけど、泣いたせいで力が出ないせいか

それとも、昴の力が強いせいか
抵抗も虚しく、肩を引かれたあたしは、昴と向き合う形になった。


怒ってるような、戸惑ってるような
どっちとも取れない昴の視線が、あたしに突き刺さる。

両肩を掴む昴の手が、痛い。



そして昴はあたしの肩を前後に揺らしながら
声を張り上げた。



「何で!?何で、そうやって一人で決めちゃうんだよ!!!」

「……っ、」

「まだ何にも話し合ってねぇじゃん!何にも決めてねーじゃんか!」


心なしか、昴の口調がいつもと違う。

いや、きっと気のせいなんかじゃない。




昴は、怒ってるんだ―――。




「俺は仲直りしようと思って、こうして会いに来たのに!それが何だよ、終わりにしようって!」


答えろよ、寧々!と叫ばれ
あたしは恐る恐る昴へ視線を向けた。







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