~異種魔法異能力挌闘SFファンタジー~ 帝竜 -ミカドノリュウ- Ⅱ 竜と炎の王
 麟紅の左眼には――いや、正確には麟紅の“内”には、“帝(みかど)の竜”と名乗る、曰く地獄の竜の王が存在していた。
 世界中の魔力を支配する、文字通り最強の魔法、竜王術を駆使し、世のあらゆる力を焼き尽くす炎を生み出す、地獄の竜ならではの眼力、獄竜眼をそなえた帝の竜は、今まで麟紅の左眼にかけられた封印により、永遠的な眠りについていた。
 中身も知らずその封印に興味を持った煽烙は、「“可能な限りの”理想を現実にする力」を持った魔道具『未完成の賢者の石』を用い、麟紅の左眼にかけられた封印を解いてしまった。
 煽烙は、自らの腕と引き換えにそのまま失踪し、風のように消えた。

 封印の解かれた麟紅の左眼と、粉々に砕け散った『未完成の賢者の石』を残して……。
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