~異種魔法異能力挌闘SFファンタジー~ 帝竜 -ミカドノリュウ- Ⅱ 竜と炎の王
 帝の竜と、竜王術、獄竜眼の事は、自分から言うこともなく周りの魔法使いに伝わってしまった。妹にまでいつの間にか伝わってしまっていたのは失敗だと思ったが、麟紅は努めて普通の日常生活を送った。

 そんなある日の朝。非常に眠気が襲ってくるショートホームルームの時間。いつものように、麟紅はうとうとと春の陽気に包まれ一時限目が始まる前にすでに夢の世界への快速列車にまさに乗ろうとしていた。そして、列車の車両に足をかけた途端。

「おい、リンク! 起きろ!」

 車両から一気に引き離され、そのまま駅のホームを過ぎて外の駐車場にまで来てしまった。
 イラつきながらも、眠たい目を無理やりこじ開け顔を上に上げた。
 むすっとした表情の藍奈、藍奈をなだめるように苦笑いする茜、その二人を見て陰で笑っている常磐の三人が、麟紅の周りに立っていた。

「んだ? こっちぁ眠(ねみ)ぃんだ。後にしてくれ……」

「先生が」

「あぁ?」

 藍奈が教卓の方向を親指で指した。そこにはちょっと焦り顔の担任教師、柊(ひいらぎ)エリナ(二十四歳、背の高い彼氏募集中)が突っ立っていた。

「先生が、来いってさ」

「はぁ?」

 一瞬にして、麟紅の頭から眠気が吹き飛んだ。
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