~異種魔法異能力挌闘SFファンタジー~ 帝竜 -ミカドノリュウ- Ⅱ 竜と炎の王
 柊を先頭に、九人はエレベーターで最上階へ向かった。
 ここ、総合統括院は地下二階地上七十三階の巨大ビルである。かといって特別ここが飛びぬけて大きいわけではなく、周りには六十階を越えないとその屋上が見えないよなビルが多量に存在していた。こんなもの作って何すんだ? と麟紅は思うが、しかしまったく自分と関係のないことなので考える必要性を感じない。最上階の七十三階は学園長の部屋のみという階層で、何か意味があるのか、その学園長室の扉は象が二体ほど通れそうなほど大きい。

「弁財天君」

 突然柊が璃寛を向き、ゆっくりと言葉をつむいだ。

「わかっていると思うけど、君はここで待っていてくれますか?」

 璃寛は無言で頷き、学園長室に入っていく八人を見送った。
 学園長室の中は、それっぽい机とソファ、向こう側の壁は全面窓ガラスになっており、横の壁には三枚の歴代の学園長の肖像画、他に四十五型の大型テレビ並みの大きさの額縁に飾られた絵やどこかの著名な書道家が描いたと思われる「仁義」の掛け軸などが飾られている。
 学園長は椅子にも座らずに、ただ窓ガラスから見える外の景色を、じっと眺めていた。
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