~異種魔法異能力挌闘SFファンタジー~ 帝竜 -ミカドノリュウ- Ⅱ 竜と炎の王
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 魔法とは本来体の血を流れる力であって、その力を所有者から引き剥がすことはできない。
 しかし、例えば麟紅のように体に帝の竜という力が憑依している場合、特殊な魔法によりそれを引き剥がし取り込むことが出来る。
 麟紅の中にいる帝の竜は、世界のすべての魔力を使役する竜王術と、万物を焼き尽くす炎を生み出す眼力である獄竜眼を備えている。もしこの力が悪の手に渡れば、世界は窮地の危機に立たされることになるかもしれない。それだけは、なんとしても避けなければならない。学園長率いる神鳴学園が出した結論は、出来る限りの御冠神楽麟紅、及び帝の竜の守護、である。

「しかし、の」

 学園長は残念そうに首をふった。

「学園内にいれば、相応の護衛は出来るじゃろうが、何しろこの学園は広すぎる」

 顔を上げ、今度は麟紅の周りに目を向ける。

「そこでじゃ、君たち<黄昏の翼>に麟紅君の護衛を頼みたいんじゃ。わかっとる、君たちは慈善団体でないことぐらいはな。それ相応の報酬は用意する。できんじゃろうか」

「ちょっと待て」

 ここで、麟紅が手を上げて制した。何かを言おうとしたカーキーは、少し不機嫌になった。

「護衛なんて必要ねぇ。帝の竜が最強ってんならそいつに任せりゃすむことだろ。人に守られんのなんか死んでもごめんだ」

 学園長は、しばし驚いた様子を見せた後、ゆっくりため息をついた。

「君の今までを考えれば、当然の答えじゃな。それなら、一つ頼みがある」

「?」

 学園長は、ニコリと微笑んだ。

「帝の竜と、話をさせてはもらえないじゃろうか?」

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