~異種魔法異能力挌闘SFファンタジー~ 帝竜 -ミカドノリュウ- Ⅱ 竜と炎の王
間章
日本、神鳴学園に一番近い空港のエントランス。
一人の日本人女性が、そこにある自動販売機に寄りかかっていた。
長く黒い髪を後ろで縛り、白いシャツの上にジーンズ生地のジャンパーを着て、裾を折り曲げたジーパンをはいている。背中に何か、その高い身長でしても足元まで届く、長い竿のような物が入った袋を提げている。
女は携帯電話を耳にあて、相手がコールするのを待っていた。
しばらくして、
「やっと出たかい。ずいぶん待たせやがって……」
ようやく相手が応答したのか、悪態をついた後くすくすと笑った。
「あ? ああ、こっちはもう日本についたよ。これからいっぺん“力(ストレングス)”に会いに行くつもりだけど? え? まだ時間がかかるって? あんた、指示したわりにはずいぶんルーズだね。……わかったよ、“力”に伝えとく。ああ、大丈夫だって。殺しぁしないよ。ああ、じゃね」
女は携帯電話のフリップを閉じると、ニヤリと笑って背中に提げた袋を前に抱いた。
「まったく……“戦車(チャリオッツ)”も人使いが荒いもんだ」
それから女は袋に顔をあて、その中身に話しかけるように囁いた。
「今度もまた人が斬れるよ……月光……。あたしが、吸いたいだけ吸わせてあげる……この“月(ザ・ムーン)”がさ……」
女は剣を背中に提げ直すと、空港を出て行った。
一人の日本人女性が、そこにある自動販売機に寄りかかっていた。
長く黒い髪を後ろで縛り、白いシャツの上にジーンズ生地のジャンパーを着て、裾を折り曲げたジーパンをはいている。背中に何か、その高い身長でしても足元まで届く、長い竿のような物が入った袋を提げている。
女は携帯電話を耳にあて、相手がコールするのを待っていた。
しばらくして、
「やっと出たかい。ずいぶん待たせやがって……」
ようやく相手が応答したのか、悪態をついた後くすくすと笑った。
「あ? ああ、こっちはもう日本についたよ。これからいっぺん“力(ストレングス)”に会いに行くつもりだけど? え? まだ時間がかかるって? あんた、指示したわりにはずいぶんルーズだね。……わかったよ、“力”に伝えとく。ああ、大丈夫だって。殺しぁしないよ。ああ、じゃね」
女は携帯電話のフリップを閉じると、ニヤリと笑って背中に提げた袋を前に抱いた。
「まったく……“戦車(チャリオッツ)”も人使いが荒いもんだ」
それから女は袋に顔をあて、その中身に話しかけるように囁いた。
「今度もまた人が斬れるよ……月光……。あたしが、吸いたいだけ吸わせてあげる……この“月(ザ・ムーン)”がさ……」
女は剣を背中に提げ直すと、空港を出て行った。