~異種魔法異能力挌闘SFファンタジー~ 帝竜 -ミカドノリュウ- Ⅱ 竜と炎の王
間章
プルル、プルル、と無機質な携帯電話の着信音が鳴り響いた。
街の真中で、周囲の喧騒も激しいものがある。
男が、手にした携帯電話を耳に押し当てた。
肌は黒く、頭にガトゥラというアラブ人特有の白い布を鉢巻のように巻き、頭頂から真っ赤な長い髪をバラバラと伸ばしている。カンドーラというこれもアラブ人特有の白い寸胴の布を羽織り、下には白い無地のパンツを穿いている。
本来なら、それは日常の光景ではない。こんな街の雑踏の中にアラブ人が、それも真っ赤な髪の男がいることは日常の範囲には入らない。
しかし現代人の精神力は強く、その“異常”な光景は普段の“日常”の中に溶け込み、誰も気にしようとはしない。
「おう、俺だ。……“力(ストレングス)”か……。いや、たった今到着した」
電話をかけてきた相手に、見えるわけでもなく礼をした。
「……あ? “月(ザ・ムーン)”が? ……ああ、わかった。準備は整ったってわけだな……」
男はニヤリ、と口をゆがめ、一度頷いた。
「……わかってる。後は計画通り実行するだけだ。……失敗? さあな。どっちでもいいさ。俺の目的は一つだからな」
くくく、と笑った後、男は携帯電話を懐に仕舞った。
そしてその視線を目の前にある学校の校門に送り、もう一度頷いた。
「獄竜王……俺様が頂いたぜ……」
男は視線の先の学校へ歩を進めた。
街の真中で、周囲の喧騒も激しいものがある。
男が、手にした携帯電話を耳に押し当てた。
肌は黒く、頭にガトゥラというアラブ人特有の白い布を鉢巻のように巻き、頭頂から真っ赤な長い髪をバラバラと伸ばしている。カンドーラというこれもアラブ人特有の白い寸胴の布を羽織り、下には白い無地のパンツを穿いている。
本来なら、それは日常の光景ではない。こんな街の雑踏の中にアラブ人が、それも真っ赤な髪の男がいることは日常の範囲には入らない。
しかし現代人の精神力は強く、その“異常”な光景は普段の“日常”の中に溶け込み、誰も気にしようとはしない。
「おう、俺だ。……“力(ストレングス)”か……。いや、たった今到着した」
電話をかけてきた相手に、見えるわけでもなく礼をした。
「……あ? “月(ザ・ムーン)”が? ……ああ、わかった。準備は整ったってわけだな……」
男はニヤリ、と口をゆがめ、一度頷いた。
「……わかってる。後は計画通り実行するだけだ。……失敗? さあな。どっちでもいいさ。俺の目的は一つだからな」
くくく、と笑った後、男は携帯電話を懐に仕舞った。
そしてその視線を目の前にある学校の校門に送り、もう一度頷いた。
「獄竜王……俺様が頂いたぜ……」
男は視線の先の学校へ歩を進めた。