~異種魔法異能力挌闘SFファンタジー~ 帝竜 -ミカドノリュウ- Ⅱ 竜と炎の王
「黒魔術師」

 女は振り向くことなく、藍奈を呼んだ。

「気付いてたの……」

「当たり前です」

 女はひょうひょうと答える。あまりの悔しさに、藍奈は歯をかみ締めることしかできなかった。

「伝言を、御冠神楽麟紅に」

「アイツに……」

「今は、六時五十七分。今から一時間三十分後までに、神鳴学園内の東大広場(ひがしおおひろば)まで来るように。伝えましたよ」

 女はそれだけ言うと、紫音を抱えたまま闇へ消え去った。
 藍奈の意識も、そこで途切れた。
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