~異種魔法異能力挌闘SFファンタジー~ 帝竜 -ミカドノリュウ- Ⅱ 竜と炎の王
「だ、大丈夫だよ、ほら、わたしが妖術で藍奈さんを元気にするから。ね、わたしそういう人を幸せにする魔法は得意だから……」

「茜はちょっと黙ってろ。それと何でもかんでも魔法でなんとかしようと思うな」

 スパッと麟紅は言い放つ。茜もそれ以上何も言えなくなり、黙って従うほかなかった。

「なんだテメェ。なめてんのか?」

 麟紅はもう普段のことなど考えずに藍奈の頭を掴むと、そのままずいと自分の顔を近づけた。黄水晶(シトリンカラー)の瞳がギロリと藍奈を睨みつける。

「たったいっぺん負けたぐれぇでウジウジしやがって。見てて吐き気がするっつーの。それになんだ? そんなビビってっくせに戦うだぁ? ふざけんのも大概似せろよコラァ!!」

 大声で怒鳴り散らしながら麟紅は藍奈を突き飛ばした。
 藍奈はされるがままに吹っ飛んで、コンクリートの地面に叩きつけられた。
 藍奈の麟紅を見る目は、恐怖の色へ染まっていく。

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