~異種魔法異能力挌闘SFファンタジー~ 帝竜 -ミカドノリュウ- Ⅱ 竜と炎の王
 現れた人影はアズラクだった。
 麟紅と別れた後、そのまま寮に帰ろうか迷い、後になってここにいたはずの少年らが気にかかり戻ってきたのだ。

「あれ? ここに人が倒れてなかった?」

「ああ、倒れとったで」

 常磐はメガネを指で上げて答えた。アズラクが首をかしげ不思議そうな表情をとるので、さらに続ける。

「残念やけど、もう死んどったわ。やから騒ぎいならんよう処理させてもらったで」

 アズラクは話を聞きながら十字を切った。常磐は構わず話を続ける。

「ずいぶん酷いことになっとったけど、アズ、お前なんか知らへんか?」

「ん、え? なに?」

 いきなり話を振られアズラクは慌てた素振りを見せる。

「そやからここで何があったか知らへんかって」

「ああ、そうか。実はね……」
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