鬼 鴉【総集編】
ティグの警鐘は大音量でガナリ立てる。
間髪入れずティグは後ろへと振り返ると、全速力で駆け出した。
『ドサッ』
途端に足が縺れ、転ぶ。
否、縺れたのではなく、左膝から下が無い。
ティグが先程まで立っていた場所に、左脚足首と右手が残っている。
恐怖を凝視するティグ。その恐怖は、右だけでなく、左にも太刀を携え、二刀をぶら下げていた。
ボロ布から突き出る二刀の太刀は、まるで巨大な翼を広げる怪鳥のようでもある。
「……ッ!?!?」
混乱は頂点を極めると、ティグの思考は逃避を謀り、固まっていた。