鬼 鴉【総集編】
「それで……、彼に対抗する為、私に拳法を習いたいと?」
「あぁ……」
残った左眼を細め、口角を吊り上げ問う紅拳に、黒鬼は短く返答する。
「付け焼き刃、ね?」
失笑するように、紅拳は呟いた。
「……ナニ?」
「そんなモノで、闘兵衛には勝てません」
肩透かしを喰らったかのように聞き返す黒鬼に、紅拳は淡々としながら、さらに続ける。
「たかが数刻、技を習った程度で勝てるならば、……私は、負けませんでしたよ?」
理屈を説明していく紅拳は、苦笑いを浮かべていた。