鬼 鴉【総集編】
「酒の一本や二本位、イイじゃんよぉっ?」
一人の男が、船員に絡んでいる。
「お客人、お酒一瓶でも大切な食料なんですゼ?……勘弁して下さいよ」
「おっ?そんな事言っちゃうの?俺達は、大切なお客じゃないの?」
なだめる船員に対して、その男はさらにごねだした。
焦げ茶色の短髪、少々癖があるが整った顔立ち、なかなかの好青年に見えるのだが、先程から無茶な注文を繰り返しては、船員に嫌がられている。
「お客人、困るネェ?」
白髪を揺らしながら現れたジェノスは、威圧するように男に声を掛けた。