鬼 鴉【総集編】
太陽が西に沈み、月が東より顔を見せ始める。
街はこれから起こる出来事に恐怖してか、息を潜めるように沈黙しているのであった。
桃華は妖気漂う夜道を、黙々と歩いている。
(港、か……)
賊は長崎の港街を、証拠に残していた。
どんな理由があるのかは分からなかったが、桃華は指定されたこの地に足を運んでいる。
役人や岡っ引きと、先程からすれ違う事が多い。
全員が殺気立っており、特別な何かが起こりそうな雰囲気だった。