鬼 鴉【総集編】
そんな闘兵衛に、近付く人物がいる。
「アンタ、昨晩、大立ち回りをやったらしいじゃないか……?」
凛とした声で、闘兵衛に声を掛けていた。
「……」
闘兵衛は無言でその人物に、視線を向ける。
身長は闘兵衛より頭半分程高く、長い外套に身を包み、その外套の下には鎧を着込んでいた。
闘兵衛はその人物を索敵するように下から見上げていくと、ある特徴に気付く。
歌舞伎役者のような髪型を無造作に肩まで伸ばしており、よく整った顔立ちをしている。
ただ、左目を覆い隠すように包帯を巻いており、ソレは異様さをかもしだしていた。
さらに、その左手には、鞘に納刀された長い柄の太刀が握られている。
長巻、と呼ばれる薙刀にも似た刃物。
戦国時代の対騎馬武者用の武器ではあるが、その形状は太刀と遜色無く、重量にさえ慣れれば強力なモノとなった。