鬼 鴉【総集編】
「?」
「なぜ……、女なのに、太郎なんだ?」
一瞬虚を突かれた禁太郎の方に向きを変えると、闘兵衛はその身体を見渡しながら、確認の言葉を発する。
「なっ……!?なんで、分かった?」
禁太郎は自分の性別を見抜かれた事に顔を赤く染め、驚きの声を上げた。
「……前の街で、ヒトの判断ってヤツを覚えたんでな?他人は、性別さえ疑うようにしている」
闘兵衛は、また正面に向き直ると歩を進める。
ソレは、桃華の事であろう。
桃華が桃太郎と名乗り、男装していた頃、違和感を感じながらも見抜く事が出来なかった。
だからこそ、成長したのかもしれない。
もしくは、太郎という名に反応したダケなのかもしれなかった。
「凄いな……。いやっ、アンタには、どうしても話しを聞いて欲しい」
禁太郎は感心し、改めて懇願する。
そこに女らしさはなかったが、人間として礼節を心得た者の言葉だった。