鬼 鴉【総集編】
「次は、俺の番だ」
闘兵衛は顔を引き締め、皐月に問い掛ける。
「あの鬼面の男は……、何者だ?」
核心を突く闘兵衛の質問に対し、皐月はゆっくりと口を開く。
「彼の名は、鬼人。鬼鴉の創設者にして、総大将を務める者……」
「……」
闘兵衛は海を睨みつけ、拳を固く握り締める。
「そう……、か」
ボソリと独り言のように呟いた闘兵衛の肩が、一度だけ奮えた事には誰も気付かなかった。
闘兵衛がその事に対して平静を保つ事が出来たのは、薄々ソレを感じ取っていたからである。
鬼鴉という因果は、動揺を与える事すら通り越していた。
もっとも最悪な、展開。
兄と、妹。
偶然というなら出来過ぎであり、運命というなら悪趣味といえる。
だが、今の闘兵衛には、その現状を受け入れる事しか出来なかった。