鬼 鴉【総集編】
「ッ!?」
闘兵衛は、布団のように掛けていた外套をはねのけ跳び起きる。
汗で、全身がびしょ濡れであった。
此処は、紙洲に教えてもらった長屋。
貧乏長屋よりも、粗悪な造りであった。
今は月明かりが残る丑三つ時、闘兵衛は壁に貼りつけられた一枚の紙切れに、目をやる。
そこには、奇妙な印が描かれていた。
鳥の姿を正面から線で現し、その頭部には角のような物が二本ある。
鬼鴉、といわれる印だ。
闘兵衛は、その紙切れを鋭く睨みつけると、吐き出すように呟く。
「夢見が、悪いこった」