鬼 鴉【総集編】
闘兵衛が街に下りてきてから、数日が過ぎ去っていた。
強盗から、かどわかし、殺人、紙洲の指示の元に事件を解決している。
しかし、未だに鬼鴉に係わる情報は、闘兵衛の耳に入ってこないのであった。
闘兵衛はいつもと同じように、貧乏長屋に足を運んでいる。
「……紙洲親分なら…、いないぞ?」
前方より、闘兵衛に声を掛ける人物がいた。
桃太郎、である。
「どうした?顔色が悪いな?」
桃太郎は闘兵衛の顔を見つめ、不安げな表情を浮かべ口を開いていた。
「イヤ……、少し寝付きが悪いだけだ」
闘兵衛は桃太郎から視線を外し、素っ気なく返答する。
桃太郎は目尻を下げ表情をしかめたが、それ以上は何も言わなかった。
この美形の侍、桃太郎には、妙にそういう部分に色気がある。
闘兵衛は、少しだけ苦手であった。