鬼 鴉【総集編】
――衛藤屋、奥座敷――
「……では、紙洲親分、よろしく頼みますよ」
一人の老人が、紙洲に向かい頭を下げる。
その老人の右手に、一つの紙袋が握られていた。
「任せといてくだせぇ。すぐにでも、解決してみせますよ」
紙洲の返事を聞いてか、老人は嬉しそうに笑みを浮かべ、右手の紙袋を差し出し口を開く。
「少ないですが、これを御足にでも……」
見るからに金子が入っていると思われる紙袋を、紙洲は卑屈な態度で受け取った。
「それでは、そろそろおいとまさせて頂きやす」
紙洲はその金子を懐に入れながら、そろそろと立ち上がる。
「……道中、お気をつけて下さい」
老人は立ち上がらずに、紙洲を見送った。
まるで、今までの会話を払拭する断ち切るような対応である。
店の者に見送られ外に出た紙洲と、座敷に残った老人。時を同じくとし、口を開いていた。
「タヌキがっ!!」
「ダニめっ!!」