鬼 鴉【総集編】
「……木林の旦那でも、連れてったらどうだ?」
闘兵衛は半ば呆れて、皮肉るように側に立っていた同心の木林に、話しを振る。
「……っいや、ここは私が出張るより二人で片付けた方がぁ~……」
木林は慌ててふためき、引き攣った顔で答えた。
この木林という男、剣の腕はからっきしであるのだが、自尊心だけは非常に高い男である。
自分にはソレは出来ないとは言わないが、ナニもせずに他人に便乗して、結果だけ、いただく。
つまる所、おいしい部分だけを自分の手柄にする性格のようだ。
人の性分というモノが、色濃く臭い立つ。