鬼 鴉【総集編】


「…鬼鴉の情報は……、いらねぇんだな?」


紙洲は切り札を繰り出すが、その言葉を漏らした途端、一瞬にして闘兵衛が殺気を纏う。

室内の空気が歪み、場が凍りつく。


「……お前を、この街から追い出す事も出来るんだゼ?」


紙洲は闘兵衛の殺気に臆する事なく、続けて脅し文句を呟いた。


「紙洲サンよぉ、言葉を選ぶんだナ?俺はあんたの仲間でも、手下でもねぇんだ。牙を剥くなら、……相手になるゼ?」


闘兵衛は臨戦態勢をとりながら口を開くと、紙洲の出方を窺う。



元来、脅しや、スカシ、恐喝や脅迫というモノは単純な力、暴力が後ろ立てとなる。

目の前に餌をぶら下げただけで扱う事が出来るような人間なら、話しは楽であろう。

一匹の猛獣に近い闘兵衛に、その程度の駆け引きは意味を成さなかった。


人間は自分に都合のイイ時、悪い時を他人に強要する生物である。

ソレを無視すれば、敵意しか残らない。


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