鬼 鴉【総集編】
「……もういい。好きにすれば、イイさ」
紙洲は不機嫌そうに捨て台詞を吐き、歩を進めていく。
そのまま闘兵衛と木林の間を抜けて、貧乏長屋を出ていった。
「……」
闘兵衛も何事もなかったかのように、長屋を後にする。
ただ一人、木林だけが、オロオロと室内を右往左往していたのだが、何を思ったか外に走り去っていく。
まだ正午だというのに、雲行きが悪くなり、太陽が姿を隠していた。
今現在を象徴するかのように、風が乱れる。
荒れた風は、これからの未来を暗示するが如く、激しく街に吹き付けるのであった。