鬼 鴉【総集編】
太陽が西に傾き始め、山の麓の小川に、赤い光が差し込む。
その麓に少し困った表情を浮かべる、桃太郎の姿があった。
「……やはり、ここか」
桃太郎は、小川を眺める闘兵衛の姿を認めて声を掛ける。
「あんたが……、説教しに来たのか?」
闘兵衛は桃太郎に冷ややかな視線を送りながら、口を開く。
「木林サンが、右往左往してたぞ?」
桃太郎は闘兵衛の隣に立つと、表情を苦笑いに変えつつ、話し掛ける。
「……あの能無しに出来る事が、アンタに頼る程度じゃあ、同心って奴の底も知れたモンだな?」
闘兵衛の皮肉に桃太郎はさらに苦笑すると、口を開いた。
「あの人なりに、考えた結果だ。……そうイジメるなよ」
桃太郎の助言に、闘兵衛はナンの反論もしない。
興味がなかった、のであろう。