鬼 鴉【総集編】
(……あの糞ダヌキめ!ナニが、身に覚えが無いだ!?恨まれ過ぎ、だろうがっ!!)
紙洲は声に出さず、心の中で叫んでいた。
衛藤屋の大旦那、誠次朗を護衛する為に紙洲は、店子と共に夜道を帰宅している。
その夜道で待ち構えるように、突然の襲撃者があった。
「……貴様ら、誠次朗を狙う者かっ!?」
紙洲は十手を構えると、襲撃者たちと距離をとりながら、威嚇の声を上げる。
(一、二、……五人か。しかも、全員、侍かよ?やべぇゼ、かなり厄介だナ……)
大小の刀を脇に差す五人の侍らしき集団が、頭巾や手ぬぐいを頭部に巻きつけ、顔を隠していた。
紙洲は冷静に今の状況を判断しながらも、あまりの戦力差に歯軋りする。
「衛藤屋、誠次朗っ!!……キサマの悪業振りは非常に目に余る。我等、正義の剣にて天誅いたすっ!!」
一人の侍が声高々に口頭を述べて太刀を抜くと、それに続くように、他の侍らも抜刀した。