鬼 鴉【総集編】
「鬼鴉を庇う義理立てはないし、同盟を結んでいる訳でもない……」
ジェノスは人差し指を立てると、自分らの立場をまとめるかのように説明を始める。
説得力が有るか無いかは別だが、どんな事にしても方針を決めるに早いに越した事はなかった。
「遅かれ速かれヤツらと敵対するなら……、早い方がイイだろう?」
海賊としての自分の考えをヴォルトに諭すように語るジェノスは、いつものように即決する。
「……へい」
ヴォルトは渋々頷くと、諦めたかのように、了承していた。
英断ではないのだろう。
しかし、こうやって、今までを生き抜いて来たのだから、ヴォルトも従うしかない。
臨機応変どころでなく、出たとこ勝負にも近いのだが、ソレがジェノスら海賊の強みでもあった。