鬼 鴉【総集編】
「貴殿……、少々悪さが過ぎるのぅ?」
初老の男が侍の腕を捩りあげ、ボソリと呟く。
「イ、痛てててっ!?」
腕を捩上げられた侍は、苦痛の声を漏らす。
「……?」
闘兵衛は肩透かしを喰らう形となったが、二人のやりとりを黙って見守っている。
よくよく確認すると、その初老の男も脇差しを携えた、侍であった。
「引っ込みがつかんかもしれんが、御家の名が傷つくゾ?……ココは黙って帰ってくれんかの?」
初老の男は、穏やかだが反論を許さない雰囲気を漂わせ、口を開く。
「イ……、痛て!!わ、分かった。分かったから離してくれっ!!」
侍はなりふり構わず謝ると、解放されようと身もだえする。
初老の侍は不意にその腕を離すと、侍は不恰好に前方へとよろめいた。
「ぐぅっ……!!」
侍は、初老の男を激しく睨みつけ、呻く。
だが、いささか自分に分が悪いと気付いたのか、すごすごと、その場から立ち去っていった。