鬼 鴉【総集編】
闘兵衛は初老の男を一瞬で、観察する。
年齢は六十に近いだろうが、しかし、その動きに隙はない。
老練というか、達人に近い身のこなしである。
「……お主も、随分と、危険じゃのう?」
初老の男は飄々としながら、闘兵衛に声を掛けていた。
「……へっ」
闘兵衛は鼻で笑い、少しだけイヤそうな表情を浮かべる。
「あの侍を……、殺すつもりじゃったのかの?」
「……っ!?」
男から齎された言葉に、闘兵衛は驚いた。
おそらく、侍というモノに対する態度について、苦言でも言われると思っていたので、闘兵衛はすぐに問い返す。
「どういう意味だ?」
闘兵衛の質問に、男は空を見上げながら答えた。