鬼 鴉【総集編】
次の瞬間、槍先がしなり闘兵衛を襲う。
『ガッ』
右腕の鉄甲で槍先を弾きながら、闘兵衛は一気に老人との間合いを詰めていく。
長物と戦う時は、相手の懐に入り込む事が、定石であった。
『ゴッ』
硬い、金属同士のぶつかり合う、音。
その闘兵衛の動きを察知してか、老人は槍を回転させ反対側の石柄の部分を突き出す。
全ての距離に、対応した迎撃。
槍、という特性を活かした攻防。
頭部を狙い打つ老人の槍の石柄を、闘兵衛は冷静に左腕の鉄甲で防いだのであった。
「ジジィ……」
巧みな槍使いを見せる老人は、ソレだけで達人だとわからせる。
闘兵衛は老人が強敵だと判断した上で、険しい顔を作り、呟いていた。