鬼 鴉【総集編】
闘兵衛は独り離れた場所で、海を眺めている。
その顔は非常に険しく、歯軋りで歯茎から血が滲む程に、憤怒の感情が、闘兵衛を支配していた。
その表情は父と姉を殺された時のモノを、彷彿させる。
(……もう、何も、失いたくなかった……)
闘兵衛は一度だけ目頭を抑え、息を吐く。
誓いと決意の元、またしても闘兵衛は大事なモノを、護れなかった。
ソレは、単なる驕りなのかもしれない。
想いだけが虚しく、空回りしていた。